2025年5月14日(水)〜22日(木)にわたり「PyCon US 2025」がペンシルベニア州ピッツバーグで開催されました。
参加した鈴木たかのり(@takanory)さんにお聞きしたイベントでの発表や現地の様子について紹介します。
- PyCon USはどんなイベントですか?
- イベントに参加した理由と、参加した日程についてなど教えてください。
- 発表した内容について教えてください。
- 今回のイベントで印象に残ったことや発表はありますか?
- イベント開催期間中で、印象に残ったことや思い出はありますか?
- イベントに参加してみた感想や、次回以降への抱負
- まとめ
PyCon USはどんなイベントですか?
PyCon USは、年に一度アメリカで開催される、国際的なPythonカンファレンスです。
Pythonを使い始めた人から、コア開発者まで、幅広い層のPythonistaが世界中から集まります。技術発表に加えて、開発者同士の交流や、コミュニティとのつながりを深められる、貴重な機会となっています。
イベントに参加した理由と、参加した日程についてなど教えてください。
自身が応募したトークが通ったので、発表をすることを主目的として参加しました。
他にも他のトークを聴いたりさまざまな人と交流することも目的としています。
日程としては、カンファレンス前日の5月15日から開発スプリント1日目の5月19日まで参加しました。
発表した内容について教えてください。
トーク
- テーマ: How to learn Japanese with Python
- 資料:https://slides.takanory.net/slides/20250516pyconus/
- 動画:https://youtu.be/3wQxP-GfT-A
- トーク情報:https://us.pycon.org/2025/schedule/presentation/122/
トークセッションでは「How to learn Japanese with Python」というテーマを発表しました。
日本語の学習に興味がある英語話者のために、日本語の難しい点を共有し、その難しい点をPythonの自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)ライブラリを使用して学習をサポートするという内容です。
過去にPyCon APAC 2024、PyCon APAC 2025などでも発表しましたが、今回は日本語能力試験の日本語レベルに合わせてふりがなを振る、という機能を追加しました。
私自身、ついに、初めてPyCon USでフルのトークを現地発表できたので、非常に感慨深かったです。(2020年はオンライン、2022年は体調不良でキャンセル)
発表後にたくさんの方とディスカッションもでき、発表内容に興味を持ってもらえたなと感じました。
ライトニングトーク
- テーマ: Put 🐱 Cat Emojis in your Documents!
- 資料:https://slides.takanory.net/slides/20250518pyconus/
- 動画:https://www.youtube.com/watch?v=lXngPPRaqGg&t=1011s
普段Slackで使用している、しかまつさん作のネコチャン絵文字があります。 その絵文字を、プレゼンテーションスライドに挿入するために作成したSphinxの拡張機能sphinx-nekochanを紹介するライトニングトークを行いました。
ダメでもともとと前日の昼にエントリーしたところ、幸運にも選ばれたため、そこから急いでスライドを作成して発表に臨みました。
x.comI gave a Lightning Talk in PyCon US Day 3 morning!! I did it!! Are you interested in sphinx-nekochan? #PyConUS pic.twitter.com/YgXwz58F0g
— Takanori Suzuki (@takanory) 2025年5月18日
その日の夕方にSteering Councilという、Pythonの言語仕様を決定するチームのトークで、早速ネコチャン絵文字が使われていてびっくりしました!
x.comCat Emoji in the steering council slide!! #PyConUS pic.twitter.com/XDq8PUlx0Q
— Takanori Suzuki (@takanory) 2025年5月18日
今回のイベントで印象に残ったことや発表はありますか?
「Why len('😶🌫️') == 4
and other weird things you should know about strings in Python」という発表が面白かったです。
この発表ではPythonの文字列の扱いと、Unicodeに存在するさまざまな文字や合字の仕組みなどを、不思議な実例を交えて紹介していました。一番衝撃的な例は以下のようなコードです。
>>> int("৪") 4
これは実は数字の8ではなく、ベンガル語の数字の4なのです。
以下のように、unicodedataモジュールのname関数を使用して文字の名前を取得するとわかります。
>>> from unicodedata import name >>> name("৪") # ベンガル語の数字の4 'BENGALI DIGIT FOUR' >>> name("8") # 数字の8 'DIGIT EIGHT'
また、この発表では最後のまとめのところで、私が発表した日本語のテキスト処理についても紹介してくれました。(動画22:48)
まさか自分の発表について触れてくれるとは思わずびっくりし、終了後にスピーカーにお礼を言いに行きました。
イベント開催期間中で、印象に残ったことや思い出はありますか?
今回印象に残ったことは、自分自身がフルのトーク(30分)とライトニングトーク(5分)を現地で発表できたことに尽きます。
メインのトークを見たいろんな人から、会期中に声をかけられました。
そのうちの1人にKojoさんがいました。KojoさんはDjangoCon USの主催なども過去に務めており、今年のPyCon USでも「Newcomer Orientation」という新規参加者向けのイベントの案内をしている、コミュニティに長年貢献している人です。そんな方からも声をかけてもらってうれしかったです。
カンファレンス1日目の夜はいくつか企業主催のパーティーがあるんですが、私はDuolingoのハッピーアワーに参加しました。
Duolingoは本社がピッツバーグにあり、初めてのPyCon USのスポンサーだそうです。
後は、きれいな本社オフィスのカフェでおいしい料理を食べたときのことも印象に残っています。途中でマスコットのDuoが出てきて参加者が列になって撮影大会になりました。
イベントに参加してみた感想や、次回以降への抱負
イベントに参加してみて、全体的に楽しかったですが、個人的にはトークとライトニングトークの両方をやったのでかなり疲れました。
それ以外では、Python Asia Organizaitonがコミュニティブースを出していたので少し手伝ったりもしました。
ブースではアジア各国のお菓子を配っていたんですが、やはりキットカット(特に抹茶味)はとても人気でしたので海外に遊びに行くときはお土産で買っていくことをおすすめします。
来年のPyCon USはカリフォルニアのロングビーチで開催されます。来年もトークには申し込んでみようと思いますし、だめでもライトニングトークにはチャレンジしたいと思います。
また長期的な目標として今まで行ったことがない地域、オセアニア、南アメリカ、アフリカでの発表に挑戦してみようかなと考えています。目指せ五大陸制覇!
まとめ
「PyCon US 2025」について、鈴木たかのりさんにたくさんお話しを伺いました。
世界中のPythonistaとコミュニケーションを取れたり、刺激を受ける絶好の機会だと思いますので、気になる方は次回参加してみてはいかがでしょうか?
また、2025年6月13日に配信された「PyCon JP TV」や、2025年7月10日開催の「PyCon US 2025 参加報告会」でもより詳細な内容のレポートが見られます。よかったら見てみてください。