連載:エンジニアの「プロの所作」とは?
「自分はプログラミング学習に向いていないのではないか」
「プロのエンジニアとして働いている姿が想像できない」
そんなあなたに、コードを書くスキルだけではなく、普段プロのエンジニアがどのように考えて行動しているかをお伝えする連載です。
PyQは、Python学習者のあなたが「プロとして活躍できる」ということをサービス全体の目標として、 問題の作成、システムの構築、ユーザーの質問への回答、サポートを行っています。
そのサービス運営のポリシーを、Python学習者であるあなたと共有することで、 Python学習の先に目指しているものの一つ、「プロのエンジニア」という姿が明確になり、 不安が少しでも拭えればという思いで、連載を開始しました。
エンジニア「プロの所作」は14回の連載予定で、本記事は第5回となります。
- 連載:エンジニアの「プロの所作」とは?
- なぜ新しい技術を学ぶのか
- 新しい技術を学ぶには?まずはインプット
- そして、必ずアウトプット
- より具体的に、いつ学ぶのか
- 学びの罠
- まとめ
- プロの所作の過去記事について
こう思ったときは:今でも十分知ってるし、万事うまくいく
こう考えよう!:新しい技術を知ればより生産的に、幅広く仕事ができるかもしれない
新しい技術を学びましょう。しかし無作為に、新しい技術を学んではいけません。
新しい技術を学ぶのはプロの技術者としてとても大事なことです。その反面、ただ新しいものを学べば良いというわけではありません。
それは一体どういうことなのか。これから新しい技術の学び方と、学びの罠について説明します。
なぜ新しい技術を学ぶのか
技術の手法は電話機がスマートフォンになっていったのと同じように成長しています。
そのため、より効率的で効果的にプログラミングできるようになる方法を学ぶことで、生産性を大幅に向上できます。たとえばPythonでも昔は with文
や decorator
という便利なものが存在しませんでしたが、今日のPythonでは当たり前のように使えます。
また、自分にとって新しい技術を学ぶことで、自分が今までできなかった問題を解決できるようになります。Webプログラミングしか知らなかったけど機械学習も学んでみる、そうすれば機械学習を活用したWebサービスが作れるようになるかもしれません。
このように、世界にとって新しい技術を知ることも、あなたにとって新しい技術を知ることも、両方とも技術者としてとても大切なことです。
新しい技術を学ぶには?まずはインプット
新しい技術を学ぶには、まずインプットが必要です。
オススメのインプットの方法
- 新しい技術書やオンライン学習サービスのコンテンツに触れてみる
- 技術に詳しい人をTwitter上やFacebook上でフォローしてみる
- コミュニティに参加してみる
今日はとくに技術の情報がたくさんありますので、インプットするのには困らないと思います。本、オンライン学習サービス、YouTubeの動画、勉強会、カンファレンス、雑誌、Webの記事などさまざまな媒体から学べます。
むしろ、「多すぎて分からない」という悩みのほうが多いのではないでしょうか?
そんなときは、技術に詳しい人をTwitterやFacebookでフォローしてみたり、コミュニティに参加して他の人に相談してみると良いでしょう。
IT系の勉強会やカンファレンスは connpass にとてもたくさん登録されていますので、ぜひ気になるものがあれば参加してみてください。
そして、必ずアウトプット
学びて思わざれば則ち罔し(くらし)、思いて学ばざれば則ち殆し(あやうし) 「論語」為政より
インプットと同じくらいアウトプットも大切です。
なぜでしょうか?それはアウトプットしないと技術として自分の体に定着しないからです。
アウトプットと言っても、難しくはありません。
小さなことから始めてみましょう。
- 実際に自分で使ってみる
- 既存のプログラムに導入してみる
- 自分にとって新しい技術を試したらブログ記事に書いて公開してみる
自分にとって新しい学びであれば積極的に試したり、情報をまとめて公開しましょう。
これにより自分の中で情報の整理が付きます。また、実際に手を動かした経験があれば次に同じことをやるときに応用が効きやすくなります。
より具体的に、いつ学ぶのか
「新しい技術を学ぶ」というと「余暇を消費して必死に学ばなければいけない」と捉えられやすいです。
ですが私が伝えたいこととは違います。ここで言う「新しい技術を学ぶ」ことは、日常から情報を取り入れたり、試したり、情報交換する習慣をつけることを指しています。
日常から情報を取り入れたり、試したり、情報交換する習慣をつけておくと良いでしょう
仕事の中で学ぶ
- 仕事の面倒な処理を解決する小さいプログラムを書いてみる
- 新しい技術を小さいプロジェクトやコードで試してみる
- 古くなったプログラムをより良い書き方にリファクタリングする
- ライブラリーや言語のバージョンアップをする
仲間と学ぶ
- 知人や仕事の同僚と技術に関する話をしてみる
- 技術の疑問や悩みを打ち明けて教えてもらう
- コミュニティーに参加して新しい技術、より良い手法に付いての情報を交換する
日常から、できないこと、面倒なことや知らないことをそのままにせず、エンジニアとして成長できるチャンスであると捉えましょう。
学びの罠
学びには罠があります。たしかに新しい技術を学ぶことは素晴らしいことです。けれども、注意しないといけない罠があります。そこを注意しないと気がついたときにはまったく意味のない行動をしてしまいます。
学びの罠は2つあります。
学びの罠【新しい技術を見知っても、身についていなければ意味がない】
1つは「新しい技術を見知っても、身についていなければ意味がない」ということです。どれだけ知識として知っていても技術を知恵として役立てられなければ意味はありません。
おもしろい、興味深いソフトウェアやライブラリー、フレームワークなどは日々登場しています。「これはすごいな」、「時代が変わるな」と新しい技術を知るのはとても楽しいことです。ですが「技術を知っている」というステータスのために技術を追いかけるのはプロではありません 。
これが学びの罠1つめです。学びは、何かを生み出すために役立てなければいけません。
学びの罠【新しい技術だからといって役に立つとは限らない】
もう1つは「新しい技術だからといって役に立つとは限らない」ということです。新しい技術だからといってすべてが効果的で役に立つとは限りません。
新しすぎる技術は、それだけ不確かさも大きいものです。今後も使い続けられるのか、本当に問題を解決するのかという不確かさがあります。安易に新しいものに飛びついて本格的に導入すると後で痛い目をみることでしょう。一度した技術的な選択は、後になるほど変えるのが難しくなるからです。まずは簡単に使ってみたり、少しずつ仕事に導入したり、本格導入の前に吟味したり、見極めながら新しい技術を使いましょう。
この2つの罠は、どちらにしても1つの理念で解決できます。
つまり、ファッション雑誌やジュエリーを眺めるように新しい技術を見てはいけません。スーパーに並んでいる野菜や魚を見る気持ちで技術を吟味、習得しましょう。
技術は、外を飾るものでなく、あなたの内側を成長させるものです。
まとめ
今回書いたことのまとめです。 ぜひ確認して取り組んでください。
- 新しい技術を学んで新しいことをできるようになろう
- 新しい技術を学んでより効果的、効率的な方法で問題を解決しよう
- 新しい技術を学ぶにはまずインプットしよう。学んだら小さくても良いからアウトプットしよう
- 知ってはいるが身についていない罠に気をつけよう
- 技術がどう役に立つか、長らく役に立つか吟味しよう
プロの所作の過去記事について
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