Pythonエンジニア列伝は、「Pythonエンジニアたちのインタビューを通して、Pythonを使う人達がどんな人なのか、どんな場面で活用しているのか、なぜPythonに出会ったかなどを紐解く」連載です。 連載はトピックごとになっているので記事単体でも読むことができます。最終回となるこの記事では、cocoatomoさんのPythonの関わりにおけるこれからの展望をききました。
この記事はPythonエンジニア列伝第四回の7記事目です
バックナンバー
- その1…cocoatomoさんの紹介と技術ドキュメント翻訳との関わりや歴史を聞きました。
- その2…Pythonドキュメント日本語訳プロジェクトの足跡を聞きました。
- その3…PEP454と翻訳にともなうグローバルなコミュニケーションのお話を聞きました。
- その4…プロジェクトへの参加方法とPythonコミュニティのメリットを聞きました。
- その5…語学面でのドキュメント翻訳の難しい所や、モチベーションの保ち方を聞きました。
- その6…cocoatomoさんというPythonistaのこれまでの足跡を聞きました。
- この記事はPythonエンジニア列伝第四回の7記事目です
- バックナンバー
- cocoatomoさんのこれからの展望についてお聞きします。
- 仕事面でのPythonに関わる将来の展望はありますか?
- 仕組みを作るという視点からの発信
- まとめ
- バックナンバー
- エンジニア列伝アーカイブ
cocoatomoさんのこれからの展望についてお聞きします。
ここまで、過去から現在の話をしてきたんですけども、未来の話も聞きたいです。
cocoatomoさんが、Pythonとかとの関わりの中で、将来に向けて考えていることや今後どういう活動していきたいことを教えてください。
やはり今は翻訳ですね。
CPythonの翻訳をもうすこしやりたいです。
人は増やしたいのですが、そちらはまだそもそも分母が小さいのでゆっくりやろうと思います。ハンズオンなどで着実に増やしていきたいですね。
それはそれとして、自分ももうすこし翻訳の作業者のほうに戻りたいのが一番ですね。管理側だと本当に翻訳しなくなるので、忙しくて。
Python ドキュメント翻訳ハンズオン
対談後、cocoatomoさん主催でPythonドキュメントの翻訳ハンズオンが開催されました。翻訳プロジェクト運営者に質問しながらドキュメント翻訳に触れることができます。ハンズオンは今後も開催していく予定です。イベント情報はPythonドキュメント翻訳グループのページを参照してください。
そうですよね。その感じが分かります。プロジェクトの運営、OSSの運営みたいな感じになってると、実際、コード触ってないんじゃねとなって、寂しい瞬間ってありそうです。 Python.jpとかから翻訳の仕方とか、どんどん書いて紹介してもらえるといいですよね。そこは自分が教えなきゃではなくて、自動で新しい人がジョインしてくるような。
そういうシステムを作っていければ、プレイヤーとして活躍できそうです。
そうですね。自分もPython mini Hack-a-thonとか、外に出て宣伝できればいいんですけど。それがなかなか今難しいので、隙間時間にできるクエストみたいなものだと思って文章を少しずつ訳していて楽しいです。続けていきたいなと思います。
仕事面でのPythonに関わる将来の展望はありますか?
そういうのはないですね。いったらいったで面白いかもしれないですけど、ウェブ系に偏ってしまうので。
積み上げてきたものとすこしずれてくるので、翻訳メインでいきたいと思ってます。
ただ、機械学習とかそういう分野に関連して、すこし仕事でもPythonが回ってくるようになっています。ようやく仕事で回ってくるような言語になったな、と感慨深いですね
仕組みを作るという視点からの発信
あとはブログを書きたいなと。最近だと、さっきのCPythonの原文の更新自動化のところを書こうかなと思いつつ、まだちゃんと書けていないので。
対談後、上記の内容のブログ記事を発表されました。対談記事その2・その3の内容とさらに掘り下げたお話になっていますのでぜひご覧ください。Python 日本語ドキュメントのお引越しについてのブログ記事
すこし昔の話になりますけど、前、Python mini Hack-a-thonに行って、こういう翻訳をしましたよっていう報告をしたら、あ。やっぱり裏で人がやってるんだって言われまして。
そういう、知られていないというか、意識されてないんだなというところを知らせていこうっていうのが、一つのモチベーションですね。
確かに。さきほどのPEPの話でも、人がやってるんだって意外と忘れちゃうというか、見えてこないですもんですね。
そうみたいなんですよね。たぶんそれはhirokiky(清原)も自分がやっているものでそう思われていると思う。 最近社内でやってる方々に会うまで、人がやってるというイメージはなかったです。Djangoの日本語とかもなんか、書いてあるなー、としか意識していませんでした。 これが、人が作りたもうたものだー、って、グーっと力を入れて見る人はそんないないもんね。物は人が作っているんじゃんって当たり前になってきてしまう。
でも、確かに普段便利に使っているものはそれぞれ思いを持って人が作っているんだと、そういうものは発信していきたいし、どんどんして欲しいですね。
はい。なかなかそういう仕組みを作る側の人、たくさんはいないと思うので、そういうところを発信していきたいです。
まとめ
プログラミング初学者に向けてアドバイスをお願いします
cocoatomoさんから、これからPythonとかプログラミングとか始めたばかりとか、始める人にアドバイスはありますか?
続けてみてくださいというのがまずあります。あとは、何かしら、間違っててもいいので理屈を付けて理解してみてほしいです。 それは大事ですね。写経しているときに、これってどんな働きをするオブジェクトで、なぜ呼び出してるんだろうとかを考えるということですね。
写経とはプログラムを写して書いて、動かす学習法です。 写経がプログラミングスキルを身につける一番の近道です。 コードをコピー&ペーストするのではなく、1字ずつどこになにを書くのかを確認しながら書き写してください。 動かしてみると書き間違いや勘違いでエラーが出ます。 エラー発生後、問題点を検討し、修正するプロセスを通してプログラミングに馴染んで行きます。 知らない文法、疑問に思ったことを調べることで更に知識を深めます。写経
あとはとにかく人に聞いたほうがいいですね。Python.jpのSlack入ってしまうのが手軽で良いと思います。 日本語版のスタック・オーバーフローとか、teratailとか、回答してくださる方が沢山いらっしゃる。 Pythonのいい文化はそういうところもあるかもしれないですね。みんな親切に教えてくれる気がする。 ですよね。なので、初学者のみなさんはぜひコミュニティーに入っていって、存分に質問してください。
PyQについて
初心者の裾野を広げようとしてやってるんですけど、そういう取り組みはどう思いますか。 もちろん私もいいと思っています。
プログラミングが上手なのと教える能力はまた違うので、そこを補填してPythonの裾野を広げていただいたり、コミュニティの技術を底上げしていただけるのはとても助かる。研修などもしてますよね?TA(アシスタント)が何人かいて教えてくれる研修スタイルの。
教材や手を動かす演習としてPyQをつかってます。講師陣の講義と、PyQで実践しつつアシスタントが補助で教えていますね。 ウェブの上で聞けるよりももっと気楽に聞けるのが良さそうです。細かい部分の何を勘違いしてるかのニュアンスがお互いに伝わるので。 確かにPyQを使った研修はとても好評ですね。2017年から始めたんですが、お客さまから学びやすいという感想を頂いています。 面白いんですよ。もちろんPyQなしにオフラインでPythonを学んでももちろんいいんですけども、PyQでやってると誰が何回失敗したかを教える人が把握できるんです。
「大丈夫ですか?」という声がけをするタイミングが目に見えるんです。
PyQはオンライン上でも、質問の文化を定着させようという部分を重視していて。
フォーラムのような形で質問できる機能を作ったりもしています。オンラインでもそういう「分からない」のニュアンスを拾っていけるように仕組み作りを頑張っていきたいと思います。
いいですね。じゃああと1つ。PyQでドキュメントの読み方講座やりませんか。 ああ、いいですね。僕たちの中でも課題としてあります。
PyQとしてPythonを教えていますが、いつかは巣立ってほしい。自力でドキュメントを読む、調べる能力っていうのが必要になるんです。
でも、公式ドキュメントに慣れて欲しいからといって、いきなりPyQの問題から公式ドキュメントにリンクを貼っても難しい。
初学者にはそもそもの読み方とか調べ方が解らないという問題が出て来ます。ですので、ドキュメントとの触れ合い方っていうのは伝えたいと思っています。
CPythonのドキュメントを読んで、あわよくば誤植報告してください、というところまで教えて欲しいですね。
CPythonのドキュメントは、各パートがそれぞれ役割が違っていて、表現などの雰囲気が違います。
自分は目次が頭に入ってるから読めるんですが、学習している人に意見をもらって構造や全体の統一感の改善はしたいと思ってます。
あと間違いがあったら、軽い誤植、句読点がおかしいとかPull Requestを出す練習をしてほしいですね。
自分も最初はドキュメントの読み方で迷子になっていました。この内容はどこにありそうかな?とかです。提案できるところがあれば協力します。 ありがとうございます、よろしくお願いします。
Pythonエンジニア列伝第四回、いかがだったでしょうか。普段何気なく参照しているドキュメントなどの裏にいる人の熱などを感じていただけたでしょうか。今後もPyQでは、Pythonの第一線で活躍するエンジニアのお話を聞いて、臨場感のあるPythonの世界を伝えていきたいと思います。
本記事からご覧頂いた方は、バックナンバーもぜひご覧ください。
バックナンバー
- その1…cocoatomoさんの紹介と技術ドキュメント翻訳との関わりや歴史を聞きました。
- その2…Pythonドキュメント日本語訳プロジェクトの足跡を聞きました。
- その3…PEP454と翻訳にともなうグローバルなコミュニケーションのお話を聞きました。
- その4…プロジェクトへの参加方法とPythonコミュニティのメリットを聞きました。
- その5…語学面でのドキュメント翻訳の難しい所や、モチベーションの保ち方を聞きました。
- その6…cocoatomoさんというPythonistaのこれまでの足跡を聞きました。
エンジニア列伝アーカイブ
過去回も充実した内容です。次回配信までにいかがですか?
第一回:清水川貴之さん
- 手をいつでもあげられるように素振りをしよう 〜 Pythonエンジニア列伝 Vol.1 清水川貴之氏(前編) - PyQオフィシャルブログ
- ダメで当たり前なのでどんどんやる。アウトプットしていこう〜 Pythonエンジニア列伝 Vol.1 清水川貴之氏(後編) - PyQオフィシャルブログ
第二回:鈴木たかのりさん
- Pythonの人たちが集まって何かが生まれるといいな 〜 Pythonエンジニア列伝 Vol.2 鈴木たかのり氏(前編) - PyQオフィシャルブログ
- 自分が知らないすごい人に出会いたい! 〜 Pythonエンジニア列伝 Vol.2 鈴木たかのり氏(後編) - PyQオフィシャルブログ
第三回:石本敦夫さん