この記事は第8回Pythonエンジニア列伝の4記事目です
Pythonエンジニア列伝は、「Pythonエンジニアたちのインタビューを通して、Pythonを使う人達がどんな人なのか、どんな場面で活用しているのか、なぜPythonに出会ったか」などを紐解く連載です。
連載はトピックごとになっているので、記事単体でも読むことができます。
関連記事・バックナンバー
- プロフィール・インデックス…もえ氏さんのご紹介とインデックスページです。
- その2…機械学習に興味を持たれたきっかけと転職活動について伺いました。
- その3…Pythonを使うメリットとオススメの機械学習の勉強法について伺いました。
nana前回の記事で、Pythonなど物事を学ぶ上での大きな4つの段階をお伺いしました。
この後は、そうして学習の段階を進めていったもえ氏さんの、具体的な学習方法について聞いていきたいと思います。
PyQのこと
nanaもえ氏さんは、PythonをPyQから学び始めたそうです。PyQはブラウザ内のエディターで手を動かして学ぶPython学習サービスですが、このような学習サービスをどう思いましたか?
pyq.jp
もえ氏割と満足して使っていました。内容が充実しているところが良いですね。私の場合楽して覚えようという考え方ではないため、簡単に始められたり、未経験から始められるという特徴よりは、内容の深さが魅力でした。
nao_y励みになります。内容の深さは、具体的にどういう点で感じていただけましたか?
もえ氏コンテンツのアップデートされる量でしょうか。私がやり始めた時にもすでに機械学習があったと思いますが、最近数理最適化も追加されましたよね。
数理最適化
数理最適化(以降は単に最適化)とは、数理モデルを用いて意思決定を行う手法です。 数理モデル(以降は単にモデル)は、変数と目的関数と制約条件から構成されます。数式を使って表現するので、「数理」という言葉が付きます。
URL:https://docs.pyq.jp/python/math_opt/lp.html
nana
未経験からPyQを始める場合、クエストの上から順番に学習する方が多いので、数理最適化まで辿りついている人の割合はとても少ないんです。
専門性の高い分野は、元々周辺の知識を持ったユーザーがさっと学んでいく事が多いので、フィードバックをもらえる機会も少ないです。貴重なご意見とてもありがたいです。
クエスト作成者は、数理最適化が専門分野なので、喜ぶと思います。
もえ氏あとは、業務で使えるレベルのコードで書かれている事も良い点ですね。前職で機械学習案件に携わっていた際は、PyQの画面を開いた状態で試行錯誤をする、ということもありました。
NumPyやPandasなどを学べる範囲の広さと、業務レベルのコード、その双方を満たしている点で実用性が高いと思います。とくにオブジェクト指向は業務にちゃんと繋がっています。
nana
もえ氏さんがお勤めする株式会社ブレインパッドでも、PyQをご利用いただいています。どのように活用されているのか、ぜひ教えてください。
もえ氏
新卒に、Pythonの教材としてPyQのアカウントが配布されています。
弊社の新卒社員は学生時代にデータ分析を学んでおり、Pythonをプロダクトレベルで書ける社員も多く在籍します。
そんな彼らが、Pythonの言語仕様への理解を深め、Pythonを業務として書く際のベストプラクティスに触れることで、さらに高い水準で仕事をするための教材として活用しています。
NumPy
Pythonで数値計算を効率的に行うためのオープンソースライブラリです。効率的な数値計算を行うため、ベクトルや行列などを表現できる型付きの多次元配列のサポートをPythonに加えるとともに、それらを操作するための数学関数ライブラリが提供されています。
URL:http://www.numpy.org/
Pandas
Pythonでデータ解析を支援する、オープンソースライブラリです。表やテーブル、時系列データなどを操作するためのデータ構造と、それらを扱うメソッド・関数などが提供されています。
URL:https://pandas.pydata.org/
コミュニティ参加について
nao_yPythonの学習においてよく言われるのが、コミュニティに参加するメリットです。もえ氏さんはDL4USなど、様々な勉強会や公開講座に積極的に参加されている印象ですが、学習効果についてはどのように感じますか?
もえ氏私は、学習という行為自体は本を読む・コードを書くなど個人で取り組むのがもっとも効率が良いと思っています。しかし、勉強会は、学習すること以外にも、モチベーションを上げてくれたり、たくさんの人との出会いがある事がメリットだと思います。
nao_y確かに。私も人と人をつなぐ要素が一番大きいと思います。
もえ氏
また、新たな分野に興味を持つきっかけとなることもあります。例えば、先日参加した勉強会ではこれまでに触れたことのなかったグラフ畳み込みニューラルネットワークの発表があったのですが、興味を持って勉強会後に技術の詳細を調べてみたこともありました。
もえ氏はい。あの分厚い本を3-4時間の読書会2回で読みましたね。とても内容の濃い読書会でした。
nanaもえ氏さん、本当に知識に貪欲なんですね!そのような探究心を持った人は、機械学習に向いていますか?
もえ氏わからないところを潰さないと気が済まない性分なんです。そういう性格は、機械学習に向いているのかもしれません。
楽しいと思える環境で学ぶということ
nanaコミュニティ活動といえば、事前資料でメイドカフェでノマド会という気になる単語がありました。その会にもえ氏さん自身は、どのような考えがあって参加されているのですか?
メイドカフェでノマド会
BeProudメンバーの石上晋(susumuis)が中心になって立ち上げている会です。メイドカフェノマドが素晴らしいことを紹介し、メイドカフェでクリエイティブな活動をするすべての人を応援するイベントを東京秋葉原、大阪日本橋を中心に企画運営しています!
URL:https://maid-cafe-nomad.connpass.com/
もえ氏現代社会はITが発達して便利になった一方で、変化が多く、常に新しいことを学ばないと置いていかれてしまう時代になりました。
昔の人よりもずっと勉強しなければならない現代では、「いつでも、どこでも、たのしく、心地よく」仕事や勉強をこなすことが大切だと感じています。
そしてその実現には、自分が好み、楽しくなれる環境に身を置く事が必要だという考えに基づき、ノマド会に参加しています。自分で参加するだけではなく、ノマドワークを推進する手助けとなればと、たまにメイドさんもしています。
nanaもえ氏さんの場合は、ノマドワークに適した楽しい空間がメイドカフェなのですね。他の人にもメイドカフェでの勉強をおすすめしたいですか?
もえ氏私にとって楽しいと思える場所はメイドカフェでしたが、居心地の良い空間であればどこでも良いと思います。
自分のお気に入りの空間で仕事をするとか、海外に行ってやってみるとか。自分に合う場所をたくさん模索して、ぜひノマドワークをやってみて欲しいです。
今後の展望
スキルアップについて
nana今後の展望などについて伺いたいです。やってみたいことや、計画していることはありますか?
もえ氏基本的には、統計や機械学習を続けていければ幸せなのですが、まずは業務的なことを含め、個人的なスキルを高めたいですね。
そして、大きな目標としては、データを使わなければ解けない問題を解くことで、社会にとって価値のあるものを創出したいと思っています。
業務での知見を共有する活動
nana業務関連では、告知しておきたいことはありませんか?
もえ氏データサイエンスに関わる人を対象にした、ブレインパッド有志主催の勉強会兼交流会白金鉱業Meetupがあります。定期的に開催しているのでぜひ。
brainpad-meetup.connpass.com
nao_yメンバーが530人で、開催回数もすごいですね!
もえ氏また、ブレインパッドでは、有志の何人かが中心となって社内の知見をオープンにする動きがあります。私もその一人で、その最初の取り組みが転職エントリでした。今後は社内で活用されている技術資料などの情報もオープンにしていく予定です。
moepy-stats.hatenablog.com
nana技術を社内に閉じ込めずシェアすることで、データサイエンス分野の活性化にも繋がりそうですね。
今日お話を聞いて、私もデータ分析に興味が湧きました。ぜひもえ氏さん、ブレインパッドの動向を追って行きたいです。
まとめ
初学者に伝えたい思い
nanaPythonに限らず、学ぶことに対して行き詰っている人に伝えたいことはありますか?
もえ氏「これをやりたい」という意思を強く持っていると、あとは手法の問題になるので、なんとかなります。もし行き詰っているのであれば「本当にこれがやりたいのか?」「何がやりたいのか?」を見つめ直すと良いかもしれませんね。
最後に一言
nanaでは最後に、機械学習が気になるPythonの初学者に一言お願いします。
関連記事・バックナンバー
- プロフィール・インデックス…もえ氏さんのご紹介とインデックスページです。
- その2…機械学習に興味を持たれたきっかけと転職活動について伺いました。
- その3…Pythonを使うメリットとオススメの機械学習の勉強法について伺いました。