2024年10月25日(金)〜27日(日)の3日間に渡り「PyCon APAC 2024」が開催されました。参加した 鈴木たかのり(@takanory)さんにお聞きしたイベントでの発表や現地の様子について紹介します。
- PyCon APACはどんなイベント?
- イベントに参加した理由と、参加した日程についてなど教えてください。
- 発表した内容について教えてください。
- イベントの見どころはどこでしたか?
- イベントで印象に残ったことや思い出はありますか?
- 参加してみた感想
PyCon APACはどんなイベント?
アジア太平洋地域で持ち回りで開催されているPythonに関する国際カンファレンスです。2024年はインドネシアのジョグジャカルタで開催されました。過去にはシンガポール、日本、台湾などで開催されており、インドネシアでのPyCon APACとしては初めての開催となります。
今回、日本からはスピーカーとして私を含めて8名ほど参加し、スポンサーのHENNGEさんもいたので、合計で十数名が日本から参加しました。
ジョグジャカルタは東京からの直行便はなく、ジャカルタやシンガポールなどでの乗り換えが必要です。私はジャカルタ経由で移動しました。
ジョグジャカルタ市 Wikipedia
イベントに参加した理由と、参加した日程についてなど教えてください。
参加した理由について
PyCon APACがジョグジャカルタで開催されているということが、まず参加した理由の1つです。ジョグジャカルタは先ほど書いたとおり東京からの直行便がないため、私個人としてはなかなか訪れようと思わない場所です。しかし、PyCon APACのついでに遺跡を観光するのであればちょうどいいなと思い、参加したいと思いました。
トークに応募し、めでたく採択されたので、自分のトークをすることと、PyConのアジア太平洋地域の友人と交流することを目的に参加しました。
日程について
日程としてはカンファレンスデーとなる26日、27日にのみ参加しました(25日はワークショップのみが開催)。
ジョグジャカルタには24日に到着し、遺跡観光などを楽しみました。
ジョグジャカルタはインドネシアのPyConメンバーが「京都みたいなところだよ」と言っていました。
たしかに、少し足を伸ばすとプランバナン寺院群、ボロブドゥール遺跡といったヒンドゥー教や仏教の古いお寺が残っており、京都みたいという意味を理解しました。
25日の夜にはPyConを主催するメンバー(私はPyCon JP Associationの代表理事でもあります)での食事会があり、参加しました。日本以外にもフィリピン、台湾、韓国、香港、インド、マレーシアと各国のイベント主催者が集まっており、PyConのアジアでの広がりを感じました。
発表した内容について教えてください。
「How to learn Japanese with Python」というタイトルで、Pythonの日本語関連のライブラリやAPIを使用することで、英語話者が日本語を学習する助けができるのではないか?という内容で発表しました。
発表内容は、まず日本語学習の難しいポイントとして以下の3点を紹介しました。
- 3種類の文字(ひらがな、カタカナ、漢字)を使用する
- 単語が空白文字で分割されていない
- 漢字には複数の読み方が存在する
そして、PythonのライブラリやAPIを使用して難しいポイントの学習をサポートする方法を提示するというものです。
PyCon Taiwanと同様の発表でした。
今回、自身のMacや会場のプロジェクターにトラブルがあり、かなり駆け足の発表となっていしまいました。
また、後半はスピーカーノートなしで発表せざるを得なくなり、かなり雑な英語での発表となったと思います。
ただ、参加者のみなさんは笑ってくれたり、「このコードでうまくできた!」という所では拍手してくれたり、自分としてもありがたい事にとても盛り上がったトークだったと感じています。
発表が終わった後は質疑応答の時間があるので、なぜか並んでいたみなさんが質問ではなくて私とツーショットで写真を撮る感じになりました。「なんで?」と思いつつ10名くらいの人と順番に写真を撮りました(あの写真はどこで使われるんだろう...)。
一人は以下のLinkedInの投稿で紹介してくれていました。
イベントの見どころはどこでしたか?
イベント会場
メインホールが横長のディスプレイでかっこよかったです。キーノートとライトニングトークなどがこの会場で行われました。
Mariattaさんのトーク
キーノートスピーカーの1人であるMariatta氏はインドネシア出身で現在はカナダ在住です。Mariatta氏はPythonのコア開発者でもあり、PyCon US 2023、2024の座長もしていたすごい人です。
過去にいろいろと行き詰まりを感じていたが、Pythonコミュニティに参加することで自身のロールモデルとなる人に出会い、そして今のように道を切り開いてきた話をしていました。実際にさまざまな成果をあげている人なので、説得力があるなと感じました。
クイズ大会
他にはクロージングの前にクイズ大会があり面白かったです。Python関連の難しい問題から、会場となった大学のドメイン名など「そんなの知らないし!!」というものまで、さまざまな問題を軽妙な司会で進めていておもしろかったです。
上位入賞者はインドネシアのお菓子をもらっていました。
イベントで印象に残ったことや思い出はありますか?
PyCon関連の仲間であるKwon-Han氏とIqbal氏が「アジアメンバーももっと世界に出て行こう!!」という内容と「アジアのPython組織を立ち上げる」という報告をしていました。Pythonの中心はやはりアメリカやヨーロッパですが、距離の遠いアジアからもどんどん世界に挑戦する人が出るといいなと思いました。まずは国内のPyCon JPで英語の発表にチャレンジしてみることもおすすめです。
イベントが終わった後のスピーカーディナーに参加しましたが、お城を模したような建物で不思議な会場でした。料理はさまざまなインドネシア料理が食べられておいしかったです。
開催場所が大学(Universitas Nahdhatul Ulama (UNU) Yogyakarta)ということもあり、若い参加者が多いなと感じました。カンファレンスが終わったあとにボランティアスタッフの集合写真を撮っていましたが、みなさんがとても楽しそうにしていたことが印象的でした。
参加してみた感想
インドネシアでは多くの人がイスラム教徒のためお酒を飲みません。そのため、スピーカーディナーなどにはお酒がありません。しかし、私はビールが飲みたいので、連日(数少ない)ビールのお店を探しては、PyConの友人たちとビールを飲みに行きました。
PyCon APAC 2025は3月1日、2日にフィリピンで開催されます(日程が近い)。興味が出た方はぜひ参加してみてください。日本からも参加する人がいると思うので、初海外PyConとして参加しやすいと思います。フィリピンにはビールもあるし。