Pythonエンジニア列伝は、「Pythonエンジニアたちのインタビューを通して、Pythonを使う人達がどんな人なのか、どんな場面で活用しているのか、なぜPythonに出会ったかなどを紐解く」連載です。 連載はトピックごとになっているので記事単体でも読むことができます。この記事では、Pythonドキュメントの日本語訳プロジェクトへの関わりとプロジェクトの足跡のお話をききました。バックナンバーは下記を参照してください。この記事はPythonエンジニア列伝第四回の2記事目です
バックナンバー
連載は全7回の予定です。
- その1…cocoatomoさんの紹介と技術ドキュメント翻訳との関わりや歴史を伺いました
CPython翻訳プロジェクトについて
プロジェクトとの出会い
Dive into Pythonを翻訳した次の年の、社会人3年目、2010年ぐらいですかね。そのあたりで今のCPythonのドキュメントが2.5から2.6に変わったんですよね。 Python2.6自体は2008年がファーストリリースなんですが、この間にGeorg がドキュメンテーションツール Sphinx を作ったので、2.5でLaTeXだったドキュメントの作成ツールが2.6からSphinxに変わったんですよ。 最初にそのドキュメントを日本語に翻訳しようというプロジェクトが発足したのが2.6.2でした。そのプロジェクトをたまたま知って、参加しますと言って翻訳を一部やったのがCPython翻訳の始まりです。そこからずっと参加しています。
その当時は何人くらいの方が参加されていたんですか?
SourceForgeで当時の痕跡を見つけてきました。
すごい。SourceForgeって懐かしいですね。
そうですね、稲田さんは今でも深くPythonに関わってらっしゃいますね。
稲田直哉さん
Python自体の開発にも深く関わっている方です。BDFL Delegateとして(ユニコードや文字コードなど Guido van Rossum のみで判断できない仕様についての)Pythonの仕様の決定もされています。
初期 - CPython翻訳プロジェクト発足当初
Google Code
開発者向けにAPIなどを提供したり、オープンソースプロジェクトをホスティングするサービス。2016年1月に閉鎖。現在はGoogle Open SourceやGoogle Developers などの後継サービスがGoogleから提供されてますが、閉鎖当時はGitHubなどへの移行を推励していました。
中期 - Google Code終了とGitHubへの移行
Googleが出してくれていました。構成は全然違うんですけど、例えばWikiだったらWiki用のレポジトリが個別にできて、という風に、ある程度関連付けて移行することができました。
GitHubに移ってGit管理するようになって、Transifexも使うようになって、というのが、二つ目の波ですかね。翻訳する人はあまりGitHubに触らないとかGit操作をしないっていう状態になりました。実はその裏で管理者が手でやってたんですけど。
文章やテキストの翻訳をするプラットフォームで、原文への対訳をシステム上で入力していくだけで、翻訳が完了する。 翻訳した結果は .po ファイルとして取得できる。Transifex
現在 - Python.orgドメイン公開に
PEPはPython Enhancement Proposal の略で、Pythonの仕様の提案や改善案がまとめられた文章。プロポーザル(=企画・提案)を提出し、内容を精査、承認されることでPythonの正式な仕様や活動として取り込まれていく。PEP
対談後、上記の内容のブログ記事を発表されました。本記事でお話されていた内容とさらに掘り下げたお話になっていますのでぜひご覧ください。Python 日本語ドキュメントのお引越しについてのブログ記事
次回の内容と配信スケジュール
PEPというPython独自の仕組みが出てきました。次回はこのPEPにまつわるグローバルなコミュニケーションについて伺います。 次回のPythonエンジニア列伝(その3)は 4/12(木) 配信予定で全7回の予定です。どうぞお楽しみに。
連載記事一覧
- その1…cocoatomoさんの紹介と技術ドキュメント翻訳との関わりや歴史を伺いました
- その2…この記事です
- その3…PEP454と翻訳にともなうグローバルなコミュニケーションのお話を聞きました。
- その4…プロジェクトへの参加方法とPythonコミュニティのメリットを聞きました。
- その5…語学面でのドキュメント翻訳の難しい所や、モチベーションの保ち方を聞きました。
- その6…cocoatomoさんというPythonistaのこれまでの足跡を聞きました。
- その7…(最終回)cocoatomoさんの今後の展望や活動について・PyQについてききました。
エンジニア列伝アーカイブ
過去回も充実した内容です。次回配信までにいかがですか?
第一回:清水川貴之さん
- 手をいつでもあげられるように素振りをしよう 〜 Pythonエンジニア列伝 Vol.1 清水川貴之氏(前編) - PyQオフィシャルブログ
- ダメで当たり前なのでどんどんやる。アウトプットしていこう〜 Pythonエンジニア列伝 Vol.1 清水川貴之氏(後編) - PyQオフィシャルブログ
第二回:鈴木たかのりさん
- Pythonの人たちが集まって何かが生まれるといいな 〜 Pythonエンジニア列伝 Vol.2 鈴木たかのり氏(前編) - PyQオフィシャルブログ
- 自分が知らないすごい人に出会いたい! 〜 Pythonエンジニア列伝 Vol.2 鈴木たかのり氏(後編) - PyQオフィシャルブログ
第三回:石本敦夫さん