PyCon JPで目指していることは、世界中から人が集まって、知らない人同士が話して、新しい交流が生まれることです。美味しいごはんが出て、パーティーがチケット代に含まれていてみんなで一緒にごはんを食べたり飲んだりできるのが外せないところですね。
Pythonエンジニア列伝は Pythonエンジニアとして活躍する方にインタビューしよう! という連載です。 PyQオフィシャルブログとして、Pythonを単なるプログラミング言語としてではなく、日常や仕事で使えるものとしてお伝えしたいと考えています。Pythonエンジニアたちのインタビューを通して、Pythonを使う人達がどんな人なのか、どんな場面で活用しているのか、なぜPythonに出会ったかなどを知ってもらいたいと思います!
Pythonエンジニア列伝 Vol.2 - 前編 鈴木たかのり氏(スズキタカノリ)氏
Pythonエンジニア列伝の二回目は、株式会社ビープラウド所属の鈴木たかのり氏をお招きました。一般社団法人PyCon JP の理事をつとめ、Pythonの普及に力を注いでいらっしゃいます。
Pythonとの関わりかた
佐藤) 現在、Pythonとどのように関わっていますか?
たかのり) 仕事でPythonを使っていますが、マネージャー業務が多いのでPythonコードを書くことはあまりなく、コードレビューをすることが多いですね。
佐藤) コミュニティー活動ではどうですか?
たかのり) 活動しているコミュニティーはPyCon JP の立ち上げの時からスタッフとして関わっていて、Pythonの人たちが集まって何かが生まれるといいなという思いでやっています。何かを伝えたいなという思いはないですね。お祭り好きなんですよ。
そこ(PyCon JPのスタッフをやっていて)から、こういうのやらない?というオファーがあります。
最近は本のレビューを依頼されることが増えました。とある企業向けにPythonの実力を測れるような問題をつくったりもしてます。Python学習の動画教材もレビューしてます。
信頼できるレビューアーを探すのは大変なので、本を出版する著者同士でレビューをしあってますね。
清原) Python界のツッコミ屋さんですね。
たかのり) 最近は、日本語力の高まりを感じています。自分の中の推敲力が上がっています。
Python mini hack-a-thon
佐藤) Python mini hack-a-thonはどういう経緯ではじめたんですか?
たかのり) 昔、Zope*1とPlone*2を会社で使うために調べて、調べたことを自分のブログにガンガン書いていたんですよ。そうしたら(当時面識がなかった)寺田さん*3からZopeについて話して!とメールが来てZope Weekend 6というイベントで発表しました。その後Plone研究会にも参加するようになりました。
何度目かのPlone研究会の後の飲み会で寺田さん、清水川さんと3人で「最近、開発してないなー」「俺も」「俺も」(誰がいい出したかは不明)という話が出て。
「時間取ればやるよねー」
と意見がまとまって、月1回集まってZope/Plone開発勉強会 を開きはじめました。それが後のPython mini hack-a-thon(#pyhack)ですね。
佐藤) なぜ続いていると思いますか?
たかのり) 実はみんなに来てほしいと思っていないんですよ。まず、3人の中で都合のよい日を決める。そこから参加したい人を募集しています。
あくまで自分たちが開発するタイミングがほしいだけっていう感じでやっているので続くのかなと思います。
Python mini hack-a-thon(#pyhack)のすすめ方
- 自己紹介、名前、今日は何をやるか発表する
- もくもく各自開発
- 最後にこんな感じでしたーって発表
- 飲みたい人は懇親会に参加して飲む
清原) 毎回、懇親会に参加する人がいてすごいな~と思います。
たかのり) 俺と寺田さんが飲みたいだけだから。
佐藤) 自分ドリブンで、犠牲精神がないのがいいですね。
清原) メインの人が飲んで、盛り上げているので盛り上がるんですね。
たかのり) それでつながっている人がいっぱいいて、人材斡旋が楽になりました。
佐藤) 何か企画がある場合にってことですか?
たかのり) 本の執筆や勉強会への登壇について、相談されることが多いので、Python mini hack-a-thonのSlackを見て、誰がいいかなぁと考えたりします。Pythonistaの名簿が揃っているんですよ。
佐藤) 会ったことあるし、知っている人だからですね。
たかのり) そうそう。この人はやってくれそう!と思う人に声をかけてます。
佐藤) 紹介は紹介する側の信頼にも関わりますからね。
清原) Python界の仲人って感じですね。
たかのり) 俺はつなげて終了で、終わったら打ち上げに呼んでほしい!
佐藤) Python界隈のHUBになりつつありますね。
たかのり) 完全になってますね(ニヤリ)
清原) 僕はpyhack卒業生ですね。
Pythonをはじめたきっかけは?
佐藤) Pythonをはじめたきっかけはなんですか?
たかのり) 最初は学校でC言語を学んで、仕事をはじめてC言語書いてて、JavaとPerlも書いてましたね。
Zopeは会社の部署内のサイトとしてつくって、コンテンツ管理もどきとして使っていました。それから、Ploneといういいものが出たので乗せかえました。 Redmine*4のように、wikiを書く代わりにPlone上にプロジェクトをつくってページを追加していくかたちで使っていましたね。 Ploneのカスタマイズ方法をブログで公開してて。
あの瞬間は日本でいちばんPloneに詳しかった。
清原) 5人中1位みたいな?
たかのり) そう(笑)
佐藤) 寺田さんからのメールで、Plone研究会からPyCon JPへつながっていくんですか?
たかのり) 寺田さんがPloneカンファレンスに行くということで、「一緒に行こう!」と誘われたんですよ。でも、ヨーロッパ開催で、旅費が掛かるから躊躇していたんです。
そうしたら、寺田さんから私が作っていたプロダクトを次のPloneのバージョンで使いたいから機能追加して欲しいという依頼がきて、「代わりにPloneカンファレンスのチケット代を出すよ」と言われました。今考えるとその仕事の内容よりチケット代のほうが高かったので、寺田さんも気を使ってくれたんだなと思っています。
1回行ったらイベントが楽しくて、次の年は自腹で参加しました(笑)
清原) はまってますねー
たかのり) その頃(2010年)、PyCon APACがシンガポール開催されて、寺田さん、イアンさん、イクバルさん、増田さんの4人がたまたま各自参加してて、シンガポールで日本でもやろうという話になったんですよ。
でも、PyCon JPのモデルはPloneカンファレンスですね。
佐藤) 何が楽しかったんですか?
たかのり) PyCon JPで目指していることは、世界中から人が集まって、知らない人同士が話して、新しい交流が生まれることです。 美味しいごはんが出て、パーティーがチケット代に含まれていてみんなで一緒にごはんを食べたり飲んだりできるのが外せないところですね。
佐藤) それで、PyCon mini JP を2011年の1月にやったんですね。
たかのり) PyCon mini JPをやって、そこそこ反響があったので『やっていこうぜ!』となりました。その年の11月にPyCon JP 2011を開催しました。
佐藤) 私、何か話しましたよ。パネルディスカッション。(まだビープラウドの所属じゃなかった頃の)たかのりさんが依頼しに来てくれましたね。
たかのり) そうそう。 Pythonを仕事に使っている会社の社長を集めてパネルディスカッションをしようという企画で。
清原) 僕はそのパネルディスカッションでビープラウドを知って入社しましたね。
一同) おー
佐藤) その頃、スポンサーってどれくらいいましたか?
たかのり) miniの時は4社でしたね。
佐藤) その4社中のnexediさんとビープラウドがminiの時から7年連続でスポンサーやっているんですよね。
たかのり) 2011年はゴールドスポンサー1社, シルバー 2社 , ブロンズ4社の7社でした。
佐藤) 今は何社くらいですか?
たかのり) 2017年は約40社になりました。
清原) PyCon JPはめちゃくちゃ成長していますね。
佐藤) 2011年からやってどんな感じでPyCon JPは変わって行きました?
たかのり) コアのところはそんなに変わっていないと思います。スポンサー、参加人数は増えていますね。 参加者が大きく増えたので、誰と誰が交流しているかはわかりづらくなっていますね。
7年経ちましたが、PyCon JPの継続性を管理するのが一般社団法人PyCon JPの役割で、お金の管理をして、監査しています。 はじめは持ち越すお金の管理のために一般社団法人PyCon JPを設立しました。
一同) なるほど。PyCon JPの歴史の生き証人ですね!
次回は、鈴木たかのり氏が最近力を入れていることに迫ります。
PyQオフィシャルブログでは『Pythonエンジニア列伝』を不定期掲載します。Pythonに関わっているさまざまな人にインタビューし、これからプログラミングを学習する方にエンジニアが普段考えていることややっている活動などを紹介していきます。
(聞き手:佐藤治夫: @haru860、清原弘貴: @hirokiky / 執筆:大村亀子: @okusama27)